さいとうさん

昨日の話。

その日は、会議があった。

つまらない会議だった。誰かが出席しなきゃいけないから、出るような会議。正直、時間の無駄としか思えないような、そんな会議だった。役所には、こんな会議がとても多い。。。

終わったら、すぐに職場に戻る。早く自分の仕事に戻りたかった。

で、戻ったとたん、、、

1本の通報が入る。

近く、職場の前の道を通りかかった女性が、携帯で電話してきたのだ。

“人が倒れてる”と。

こんな電話は、役所には、よくかかってくる。

みんな、とりあえず、役所に電話すれば、後は、どうにかなると思ってるからだ。実際、どうにかするんだけど。

電話を取ったのは、ボクの部下だった。

すぐさま、報告してくる。

最初に飛び出したのは、課長だった。ボクは、その後を追いかける。こういう場合、一人で行動してはいけない。

もう一人の上司も、一緒に現場へ向かう。

最初、どこにいるのか分からなかったけど、携帯をもっている女性がいた。おそらく彼女が通報してきた人だろう。

彼女がいる方向へ向かって、また課長が一人で走っていった。かなりの年齢なのに、こういうときは、フットワークが軽い。

ふともう一人の上司(女性)を見ると、大きな救急バックを持っているので、それをボクが持ち、課長の後を追った。

その人は、道路の脇の木陰で、横たわっていた。

傍らには、自転車がとめてある。

近づいてみると、酒臭かった。

話しかけると、答えた。

どうやら意識はあるようだ。

名前と住所を聞くと、ちゃんと答えた。

ここでは、仮に”さいとうさん”と呼ぼう。

さいとうさんは、どうやら飲みすぎのようだ。

見たところ、70近くの高齢の男性だった。家に迎えにきてくれる人がいないか、尋ねると、いないと言う。

どうやら独居老人のようだった。

しどろもどろではあるけど、こちらが話しかけると、ちゃんと答える。どうやら急性アルコール中毒ではないみたいで、一安心した。

しかし、、、

このまま、道路脇で寝させておくわけにはいかない。

下手すれば、警察沙汰になっちゃうし。。。

何度か、やりとりし、ボクの職場の中に入って休むよう説得した。

“さいとうさん、立てる?”って聞くと、

“立てる”と言う。

手を貸して、立ち上がらせて、少し歩く。ちょっとフラフラしていた。

その横を、ボクは、さいとうさんの自転車をおしながら、歩いた。

そうしないと、もう一人の上司(女性)に触ろうとするから(笑)

少し話しもした。

どうやら、年金はもらえないらしい。

それから、時々、建設現場で働いているらしい。

今日は、焼酎を1本半、飲んだらしい。

職場の中に到着。

脱水症状になるといけないので、水を一杯飲ませ、弱く冷房をかけたロビーのソファーに寝させた。

さいとうさんは、しばらく寝ていたけど、1時間ぐらいしたら、自分でタクシーを呼んで帰っていった。

 

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と、つまりは、単なる酔っ払いの話なんだけど、この裏には、どうにもなんない、この国のゆがみがある。

こんな田舎でも、身寄りのない一人暮らしの老人が多い。

おそらく結婚はしてないから、家族はいないのだろう。

定職についてなかったのか、年金が払えず、その年になっても、僅かな日銭を稼いでは酒を煽る。

そんな生活をしてるのだ。

仕事がなく、身よりもなく、そんな暮らしをしている人の何と多いこと。

きっと、さいとうさんにとっては、そうやって僅かな金を持って行く、飲み屋でだけ、孤独じゃないのだ。

こんな田舎でも、さいとうさんみたいな人は、わんさか、いるのだ。。。

 

最後、

“いやぁ~、あんた、いい人だぁ”と繰り返し言う、さいとうさんが印象深かった。

そんなに親切にしたわけじゃないけど、きっと、飲んだくれの彼と、まともに話す人が少ないんだろう。

“じゃあ、気をつけて帰ってね。今日は、もう飲んじゃダメだよ”

と送り出したけど、

“きっと帰ったら、また飲むんだろうな”って思った。

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そう言えば、お酒の写真は、あまり撮ってなかった・・・

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さいとうさん への6件のフィードバック

  1. abend より:

    瓶ビールって自宅じゃそんなに飲まないよね^^
    むかし キリンの図柄をみて 文字が確か入ってたと思うのだけど
    それを友達と探してたことを思い出してしまったわ。
    孤独な人だからこそ 話を来てくれる人がほしかったでしょうね。

  2. タマ。 より:

    abedさん、こんばんは。
    あ、そうそう。あの絵の中に、カタカナで、キリンっていう字が隠れてるんですよね。ボクも、探したことありますよ。

    世の中、不景気になって、家族のつながりも薄れてきて、核家族が普通になって、、、
    こんな人が、とても多くなってきてますね、今は。どうしようもないんですが。。。
    役所は、とても無力ですね。

  3. 史津香 より:

    私のような仕事をしていると、このお爺さんのような人を見るたびに、「明日は我が身」だと思ってしまいます。
    自由業(=社会的信用ゼロ)という仕事ですから、もしかしたら明日は仕事が無くなって、来年にはホームレスかもしれない身分です。
    人生30年で充分だと思って生きてきたけど、この歳まで生かされてきて、現世の卒業証書はまだ頂けないのだから、自分で選んだハイリスクな人生に、納得のいく生き方をしようと思ってます。
    「人様・世間様に迷惑を掛けちゃいけない」
    「人様に恩返しをしてからじゃないと終われない」
    「終末を迎えたとき、迎えた後、出来るだけ迷惑掛けないように」。
    そんなことを思って生きてます。

    このお爺さんに介抱してくれる人たちが居てよかった・・・のかどうか、「明日は我が身」の私には何とも判断しかねます。

    • タマ。 より:

      史津香さん、こんばんは。
      このコメント、実はどう返そうかと、正直迷いました。ただ、人間に限らず、生きてるものは、死ぬまで生きなきゃなりません。
      もし、史津香さんが道端で倒れてたら、ほっといてくれ、死なせてくれと言われても助けるでしょう、ボクは。
      人生30年は、あまりに短すぎますね。
      うまく言えないけど、生きてくださいね、死ぬまで。

      それから史津香さんは、自由業ではなくて自営業だと思います。あれだけ、頻繁に差し入れを持ってくるファンの方々がいるんですから、社会的信用が0とは思えませんね。

  4. ニコラス より:

    そうですね~~明日はわが身ですね~~。生活保護ってのダメなんですかね?

    • タマ。 より:

      ニコラスさん、こんばんは。
      はい、みんな「明日はわが身」です。生活保護は、制度としてはもちろんあるのですが、それは、本人が望んで申請してこないと、まずは始まりません。ここが難しいところなんです。
      生活に困窮していても、結局どうしていいか分からないで、相談にも来ない方が多いんです。
      一方で、知恵働かせて、その気があれば十分働いて自立できるのに、生活保護を受給し続ける人もいます。
      この人をホントに生活保護を給付していいのかどうか、いつも現場は難しい判断を迫られているようです。

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